磁石のヨーク(キャップ)について

磁石は、磁石単体で使用することは少なく、鉄(又は鋼)と組み合わせて使用します。鉄と組み合わせることにより吸着力が増し、性能が大きく向上します。この鉄をヨーク(日本語で「継鉄」)と言い、磁石と鉄を合わせ磁気回路を構成させます。

特徴

ヨークには磁石から出る磁束を通しやすいという特徴があります。磁束の通りやすさを表す指標として「透磁率」があります。

大気中を1とするとヨークは1,000~10,000倍となります。磁石の近くにヨークがないと、磁束は大気中に漏れてしまいます。しかし、磁石の近くにヨークがあると磁束は大気中には漏れず透磁率の高いヨークに集中します。

材料

ヨークの材料は、不純物の少ない純鉄や炭素の低い鋼(低炭素鋼)が一般的に使用されています。

モーターには、珪素(シリコン)を含んだ珪素鉄や用途によって錆びにくいステンレス鋼が使用され、これらの材料を総称して軟質磁性材料と言います。

構造

ここではホワイトボードに使用するキャップマグネットと家具の扉で利用されている磁石製品でヨークの構造を説明します。

ホワイトボード(鉄)に使用するキャップマグネット

磁石単体で使用した場合

磁石単体で使用

磁束が大気中へ漏れ、有効に集中しない。

吸着力UP

ヨークと磁石で磁気回路を形成させたキャップマグネット

ホワイトボードとキャップマグネット

N極がヨーク面に移動することにより、「N極 -ホワイトボード-S極」という磁気の回路が構成され、磁束がホワイトボードに有効に集中する。

戸棚や収納扉等に使われている磁石製品

磁石単体で使用した場合

横向き縦向き

磁石の向きに関わらず、磁束は大気中に漏れ有効に集中しない。

吸着力UP

磁石を2枚のヨークで挟んだ場合

2枚のヨークで挟んだ場合

N, S極はヨークの先端部に移動し、磁束は鉄板に集中する。

磁石とヨークを組み合わせると磁気回路が構成され磁束が必要な場所に集中します。その為、磁力を有効に利用でき、吸着力は大きく向上します。

ヨークを活用した製品

牛マグネット(リューマックス21)
キャップマグネット

使用例

以下の写真は、磁石とヨークの吸着力を利用した製品の一例です。
両方とも磁石とヨークを吸着させて、扉を閉じた時に固定させる仕組みです。

コピー機

コピー機の内部

1.マグネット
コピー機内部の磁石キャップ(ヨーク)

2.鉄板(ヨーク)
コピー機内部のヨーク鉄板

収納扉

収納扉

マグネット
収納扉の磁石キャップ(ヨーク)

鉄板(ヨーク)
ヨーク(扉)鉄板